フリーランスや個人事業主の契約について解説! | SES契約・請負契約・準委任契約・派遣の違いとは?

フリーランスエンジニアとして活動するにあたり、企業と「準委任契約」を結んで業務を行うエンジニアが大半です。自分自身が結ぶ契約ですので、なんとなく準委任契約の内容がわかっている方も多いと思います。ただし「なんとなくわかっている」は大きなリスクです。準委任契約は法律に基づく契約ですので、それに違反するとなると損害賠償責任や裁判の対象にもなり兼ねません。ですので自分自身が結んでいる契約はしっかりと理解しておくべきなのです。

ですので今回は、フリーランスエンジニアを目指している方現役フリーランスエンジニアの方に「準委任契約とはどのような契約なのか?」について解説していきます!

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準委任契約とは?

準委任契約とは特定の業務を遂行することを定めた契約のことです。サラリーマン(正社員)のように雇用契約は結ばず、業務に対して結ばれる契約なのです。IT業界では「SES契約」という呼び方をすることもあります。

準委任契約に「準」がつくのはなぜ?という疑問を抱く方もいると思います。業務が法律行為であれば「委任契約」、法律行為以外の業務であれば「準委任契約」となるのです。フリーランスエンジニアの場合は法律行為ではないので「準委任契約」が結ばれることになります。

また2020年4月に民法改正があり、準委任契約は”業務時間や工数などの業務量に応じて報酬を受け取る”「履行割合型」と”成果物の納品により報酬を受け取る”「成果完成型」の2種類へ変更になりました。

成果完成型でも報酬は”成果物の納品”に報酬が支払われます。そのため最後まで完成させる必要はなく、いずれの場合でも、準委任契約は仕事の遂行に対して報酬が支払われることがわかります。

また、委任・準委任契約では、業務を依頼する側を「委任者」、業務を受ける側を「受任者」と呼びます。 

準委任契約の内容

準委任契約の特徴は主に4つありますので順に解説していきます。

瑕疵担保責任がない

準委任契約は、売買契約や請負契約と違い、事務処理について瑕疵(欠陥)があっても瑕疵(かしたんぽ)担保責任を負いません

瑕疵担保責任とは、契約の内容となっている目的物や仕事の成果に瑕疵(不備やエラーなど)がある場合、その目的物を提供した人物は一定の法的責任(損害賠償責任や契約解除など)を負うというものです。

準委任契約の場合は瑕疵担保責任がありませんので、もしも事務処理にミスがあったとしても損害賠償責任などの法的責任は負うことはありません

善管注意義務が発生する

善管注意義務とは、業務を受任した者の職業や能力、社会的地位や経験などから判断して、期待される注意義務です。わかりやすく説明すると「善管注意義務はその道のプロであるという立場や経験を考慮し、常識的に考えられることを守る義務がある」ということです。

受任者は「善管注意義務」を負いますので、職務怠慢や致命的な注意不足があった場合は、損害賠償責任を負う可能性がありますので、「自分にできることは最大限やる」という意識で業務に取り組みましょう。

いつでも契約の解除ができる

これは「委任者」「受任者」どちらにも該当します。準委任契約では、受任者が依頼を受けて業務を行なっている最中であっても、契約を解除する権利があります。これを「任意解除権」と言います。

ただしこの権利は、やむを得ない場合を除く、相手方に不利な時期に契約解除を行うと損害賠償責任を負うことになります。「現場が合わないから」といった自己都合による契約解除は、損害賠償責任にもなり兼ねませんので、注意が必要です。

第三者への再委託はできない

請負契約の場合は、自分が請負った業務を第三者に委託することは可能ですが、準委任契約では自分自身が業務を遂行しなければならず、第三者への委任することは許されていません

ただし、委任者の許可を得た場合や、やむを得ない理由がある場合は第三者へ委任することが許されています。自己判断で第三者への委任をすることは決してしないようにしましょう。

派遣契約や請負契約との違い

「準委任契約」は「派遣契約」や「請負契約」と働き方が若干似ていますが、異なる部分があります。次はそれぞれの契約の違いを解説していきます。

派遣契約の内容

準委任契約_派遣契約_内容

派遣契約とは、労働者が派遣企業と雇用契約を結び、派遣先の業務を遂行すること自体を目的とした契約です。派遣契約では、準委任契約と同様に瑕疵担保責任がありません。また混合しやすいですが、労働者は派遣元の企業と契約を結んでいます。しかし実際の仕事の指示や命令は派遣元の企業からではなく、派遣先企業から受けます。このように契約している企業と指示を受ける企業が異なるのが派遣契約の特徴です。

派遣契約についてまとめると下記の通りです。

  • 派遣先の企業で就業することに対して報酬が支払われる
  • 完成義務はない
  • 契約を結んでいるのは派遣元の企業だが、実際に仕事の指示を受けるのは派遣先の企業

請負契約の内容

準委任契約_請負契約_内容

請負契約とは、受託者が仕事の完成を約束し、その仕事の結果に対して対価を支払うことを目的とした契約のことです。仕事を完成させることが契約となっているため、納期遅延や仕事を完成できないことがあった際には、報酬を請求できないことはもちろん、債務不履行であることとみなされ、契約の解除、最悪の場合は損害賠償請求を受ける可能性もあります。

また、請負契約には瑕疵担保責任があります。納品物に不具合やバグなどがあった場合、それらを修正する義務があるのです。瑕疵担保責任には有効期間として6ヶ月〜1年程設定されていますが、修正ができない場合やしない場合は損害賠償請求をされることもあります。

請負契約では、仕事の完成や成果物の納品が求められるため、完成すべき仕事の内容が曖昧だとトラブルに発展しかねません。ですから発注者と仕事の完成の認識をきちんと打ち合わせすることが必要です。また中には仕事の完成や内容が曖昧な案件もあります。それらの仕事を受注することはトラブルの原因にもなりますので注意しましょう。

請負契約についてまとめると下記の通りです。

  • 仕事の完了や成果物に対して報酬が支払われる
  • 完成義務がある
  • 修正やバグがあった場合は、それを修正する義務がある。

準委任契約との違い

ではSES契約も含まれる準委任契約との違いはどのような点なのか。解説していきます。

まず派遣契約と準委任契約の違いについてです。準委任契約では、依頼者は受任者に対して仕事の成果・内容について一定の指示ができ、受任者はこれに従う義務があります。しかし仕事を進める方法は一般的には受任者の裁量に任されており、派遣社員よりも広い裁量権(業務をコントロールする権利)が認められています。

請負契約と準委任契約の違いは、契約内容の違いです。請負契約では「成果物の完成」が契約となり、受任者には完成義務があります。つまり仕事を最後まで終えることや成果物を納品することで初めて報酬が支払われます。しかし準委任契約では、「特定の業務を遂行すること」が契約となり、遂行に対して報酬が支払われます。また請負契約には瑕疵担保責任がありますが、準委任契約にはありません。
※準委任契約は2020年4月に民法改正によって、準委任契約は”業務時間や工数などの業務量に応じて報酬を受け取る”「履行割合型」と”成果物の納品により報酬を受け取る”「成果完成型」の2種類へ変更になりましたが、あくまでも成果完成型でも報酬は”成果物の納品”に報酬が支払われるので、最後まで完成しているかどうかは判断基準ではありません。

契約上、委託業務が完了しなくても報酬は得られますが、善管注意義務もあり、その道のプロとして仕事を受けることになります。どの仕事でも責任がない仕事はありません。「期待されたスキルで最善を尽くす」ことが依頼者と受任者双方にとって良い結果が得られるでしょう。

最後に

準委任契約のポイントについて説明してきました。今回紹介した内容は準委任契約の一部ですので、”もっと深く知りたい”という方は民法第643条〜第656条を参考にすると良いです。

また、今回は準委任契約にフォーカスした内容でしたが、会社員の方も同様に、自分の契約を普段から意識しておきましょう。自分自身が結んでいる契約ですのでしっかりと理解しておくのは当然のことです。

準委任契約を結ぶ際は、当然契約書を交わします。契約書の実物を見てみたいという方は、弊社で使用している「業務委託基本契約書(準委任)」を無料で配布しています。下記のフォームよりご請求いただきますと、ご入力いただいたメールアドレス宛に「業務委託基本契約書(準委任)」をお送りいたします。ぜひ今後の参考にしてください!

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