エンジニアとして働いている人なら誰でも、「フリーランスエンジニア」というワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか?IT業界ではフリーランスという働き方もだいぶ浸透してきました。また、日本のフリーランス人口も2018年には約1151万人でしたが、2021年では約1670万人と4年間で約500万人以上も増加しています(フリーランス実態調査2021)。
しかし、フリーランス人口が増えているとはいえ、毎月の収入が保証されていない働き方ですので、まだまだ社会的信用は低いというのが現実です。では、社会的信用がないからフリーランスエンジニアにはならない方が良いのか?と言われると、そうではありません。
ですので本記事では、「社会的信用は本当に必要なのか?」「フリーランスエンジニアは社会的信用を上げるには何をしていくべきなのか?」について考えていきます。これからフリーランスエンジニアになることを検討している方はぜひ参考にしてください!
社会的信用とは?なぜフリーランスは社会的信用が低い?
社会的信用とは高い経済力や社会的地位などに裏付けされた信用力のことです。会社員であれば、企業の規模が大きいほど社会的信用が上がる傾向にあります。企業規模以外にも、勤続年数や年収によっても社会的信用が変わります。また、会社員の最大の強みは安定的な収入があることです。会社員は毎月安定した収入を期待できることから、社会的信用は高くなります。
一方、フリーランスエンジニアの社会的信用が低いと言われる理由としては、やはり収入が不安定なことが挙げられます。仕事は自ら獲得しなければなりませんし、経済状況の悪化や業界に不況が訪れた際は、企業にとって契約を解除しやすい存在という事も理由として挙げられます。
社会的信用が必要な場面
では社会的信用が必要なシーンには、どのようなことがことが挙げられるでしょうか?
ローンを組む
ローンを組む際、最もイメージされるのが住宅ローンではないでしょうか?住宅ローンを契約するためには、返済できるかの判断をするため、収入の証明が必要となります。フリーランスエンジニアの場合、過去3年分程度の確定申告書類が収入の証明とされることが多いです。そして、いずれの年も住宅ローンを組むに値する所得を得ていなければ、住宅ローンを組むことは到底難しいでしょう。
クレジットカードを発行する
クレジットカードも支払いを先送りするという意味では、広義の借金とも考えられます。先ほども伝えた通り、フリーランスエンジニアは将来の収入が保証されていません。そのため、クレジットカードを作ろうとすると、返済における信用が十分でないことから限度額が低く抑えられたり、審査落ちによりカードの発行を見送られるケースも多々あります。
賃貸物件を借りる
これもやはり、安定的な収入が期待し辛いフリーランスエンジニアは、毎月家賃を支払える保証がありませんので、賃貸を借りる事も難しくなります。また、ここでも収入の証明として「住民税の課税証明書」「所得税の納税証明書」「確定申告書の控え」などを用意し、安定した収入があることを証明しなければなりません。
企業と取引をする
会社員として働く場合、会社という後ろ盾がありますので、クライアントもその信用を元に取引をしてくれることも多々あります。ただ、フリーランスエンジニアにはそのような信用はありませんので、100%自分自身の裁量となります。実績のない期間は、ほとんど企業からは相手にされないと考えて良いです。企業と取引するためには、スキルよりも信用を獲得することが何よりも大切なのです。
結婚をする
これは手続きや契約とは異なりますが、一つの信用として結婚をする際にも、社会的信用について考えなくてはなりません。フリーランスの特徴として収入が不安定であることなど、配偶者や親族に心配をかける場面もあるでしょう。また、結婚する際に婚約者の両親にフリーランスであることを告げると、結婚を反対されるということもあるそうです。「収入の面で子供に苦労をかけることは、避けさせてあげたい」と考えるのは、ある意味当然のことだと言えます。
上記のように社会的信用が必要なシーンを紹介しましたが、人によっては社会的信用は必要ないと感じるかもしれません。賃貸を借りる際は社会的信用が必要となりますが、持ち家に興味のない方や、クレジットカードを既に持っている方、結婚する意思のない方などは、社会的信用は不要だと言えます。ですので、将来のライフスタイルによって社会的信用の必要度は人それぞれだなのです。
また、社会的信用のある会社員時代に、全て手続きしてしまうことも一つの方法です。フリーランスエンジニアと比較すると、やはり会社員の方が社会的信用はありますので、会社員のうちにローンやクレジットカードを契約した上で、フリーランスエンジニアに転身することも選択肢の一つとして挙げられます。
社会的信用を上げる方法
前述でフリーランスエンジニアは、住宅ローンの契約やクレジットカードの発行が難しいことをお伝えしましたが、あくまで「難しい」のであって、一切できないというわけではありません。フリーランスエンジニアでも社会的信用を上げることで住宅ローンの契約やクレジットカードの発行をすることは可能です。
ここでは、フリーランスエンジニアが社会的信用を上げる方法について解説していきます。
確定申告を慎重に行う
先にも話しましたが、フリーランスエンジニアが住宅ローンを契約する場合、収入の証明として過去3年分程度の確定申告書類が要求されます。ですので、確定申告は慎重に行う必要があります。
確定申告とは、1年間の収入に対する所得税を精算する手続きのことです。所得税は、収入から経費や控除を差し引いた、所得の金額に課税されるものです。ここで注意したいのが節税のために経費計上し過ぎないことです。経費計上するためには、業務で使用した費用の証明として領収証を発行し、確定申告の際に使用します。社長や個人事業主が領収証を発行するのはそのためです。
ですが、所得を減らそうと無闇に良い備品を購入したり、飲み会の費用を必要以上に経費として計上する行為は、自分の所得を減らす行為であることを忘れてはなりません。所得は自分の手元に残ったお金ですので、住宅ローンの審査をする場合などは、収入よりも所得が優先されます。ですので、住宅ローンの契約を検討するのであれば、できるだけ所得金額が多い方が有利だと言えます。
預金額を増やす
ローンやクレジットカードを契約する上で最も信用を獲得できるものは、やはり現金です。現金をどれだけ持っているかというのは、審査をする際には大きな判断材料となります。もちろん現金や預貯金額が多いほど信用を得ることができますし、少なければ信用を得ることはできません。ですので、フリーランスエンジニアであろうと、会社員であろうと、貯蓄はしておくべきなのです。
また、貯蓄を増やす方法として、毎月コツコツ決まった額を預金口座に預ける事も大切ですが、金融商品を利用し資産形成をする事で貯蓄のスピードを上げることができます。
近年ではNISAやiDeCoの知名度もかなり上がり、NISAの少額投資非課税制度やiDeCoの所得控除を使用し、効率的に資産形成する方も増えてきました。このような制度も利用し、将来の住宅ローンなどを見据えて、少額でも蓄えていくことが信用の獲得に繋がっていくのです。
資産形成や資産運用について、より詳しく知りたい方は【資産運用入門 vol1】フリーランスエンジニアのための資産運用のススメが参考になります。
支払いの遅延に注意する
社会的信用を上げる事も大切ですが、社会的信用を落とさない事も必要です。生活をするためには様々な支払いがありますが、そのような支払いは遅延しないようにしましょう。
携帯料金やクレジットカード、レンタルサービスやインターネット料金など、様々な支払いの遅延は個人信用情報機関に事故情報として記録されています。支払額が少額だからといって油断してはなりません。もし、あなたが友人にお金を貸して、なかなか返済されなかったら、その友人の信用を失いますと思います。それと同じ事です。
例え金額が少額であろうと、支払いの遅延という行為は信用を失ってしまいます。また、あまりにも遅延し過ぎてしまうとブラックリスト入りという可能性も出てきます。ブラックリストに入ってしまうと、ローンやクレジットカードの契約はほとんど不可能です。
ですので、今後の人生が悲惨なことにならぬよう、日頃から収支の管理を行う癖をつけましょう。
最後に
フリーランスエンジニアとして社会的信用を上げることは時間が必要です。しかし、信用を失うことは一瞬ですので、日々の支払いや税金の管理には注意する必要があります。
また、人によっては社会的信用が不要だということもお分かりいただけたかと思います。ですので、社会的信用は必ずしも必要なものではないと言えます。
フリーランスエンジニアに転身する際には、自分の将来のライフスタイルをイメージし、それに向けて準備をしていくことが重要です。